「感度分の16」テスト
2006年 02月 05日
「感度分の16」とは何かということは、先日の該当の記事を見ていただくとして、実際にこの理論に基づいて写真を撮ってみました。
使用機材はこれも先日写真でご紹介した「キヤノンP」という露出計の付いていないマニュアルのレンジファインダー機です。
これにASA(ISO)400のフィルムを詰めて露出計に頼らずに晴天、曇天、日陰、室内などいくつかのシチュエーションに分けて撮り、果たしてうまく写っているのかを見てみました。
比較として、α-7に同じフィルムを詰めて、こちらは同じ場所でシャッタースピードはキヤノンPと同じにして、絞りは評価測光のカメラまかせで撮ってみました。
レンズは、キヤノンPは標準の50mm/F1.4、α-7はAF50mm/F1.7です。
フィルムは富士のSUPERIA Venus400を使用しました。
露出にシビアなポジの方がこういった露出テストにふさわしいと思ったのですが、フィルム4本と現像代がポジだと約6千円ほどかかるので、お遊びでやるテストに6千円は万年金欠病の私にはちょっときつかったのでネガフィルムにしました(笑)
DPEのお店には現像のみを依頼し、出来上がったネガを一切補正なしでスキャナーにかけて出てきたままの画像をアップしました。
なお、あくまで興味本位、お遊び半分のテストなので、被写体も家の近所の適当なものですし、方法論としてもかなりいい加減なものだということをお断りしておきます。
[晴天1]
キヤノンP 1/500 f11半(f13くらい)
α-7 1/500 f9.5
[晴天2]
キヤノンP 1/500 f11半
α-7 1/500 f8
[晴天3]
キヤノンP 1/500 f11半
α-7 1/500 f8
[感想]
晴天の場合、キヤノンPの「感度分の16」による露出はα-7の露出計の値よりいずれも1段~1.5段アンダーですが、出てきた絵は少しアンダー気味ではあるけれどほとんど適正露出といっていいんじゃないでしょうか。(α-7の露出計による露出を適正露出と仮定しての話ですが)
人によってはアンダー気味の写真を好まれる方もおられるので、こちらの方が良しとされる方もおられると思います。。
それよりも、キヤノンPの絵はいずれもかなり緑かぶりが見られるのが気になります。
フィルムは同じなので、キヤノンレンズがかなり古いせいでしょうか。
逆にα-7の方はちょっと赤く出すぎですね。
まあ、実際にプリントするときには補正すれば済むことなんですが。
今回は色乗りや透明感、解像感などのレンズによる絵の違いを見るのが目的ではなく、あくまでも露出が適正かどうか、乱暴に言うと写っているかいないかを見るためのテストなので以後この観点からのみ見ていきたいと思います。
[日陰1]
キヤノンP 1/125 f11半(2段落ち)
α-7 1/125 f16
[日陰2]
キヤノンP 1/125 f11半(2段落ち)
α-7 1/125 f16
[感想]
マンションの影になっているバイクと家の玄関を「感度分の16」により、2段落ちで撮って見ました。
結果はご覧の通り、全くの適正露出で出てきた絵もほとんど違いがありません。
ただ、キヤノンPで家の玄関の絵の左下部分に白いモヤっとしたものが出ているのは何でしょうか。
これも多分レンズに起因するものと思われますが、何が原因だか分かりません。
もちろん、レンズにカビなどはありません。
[うす曇り1]
キヤノンP 1/125 f11半(2段落ち)
α-7 1/125 f9.5
[うす曇り2]
キヤノンP 1/125 f11半(2段落ち)
α-7 1/125 f9.5
[感想]
本によると、うす曇りも日陰と同じく2段落ちということなのでそのようにしてみました。
結果は露出計の指示より1段アンダーですが、出てきた絵は露出の点ではほとんど区別がつきません。
[斜光]
キヤノン7 1/500 f11半
α-7 1/500 f16
[感想]
本には特別書いてはいなかったんですが、真横から光が差している被写体を撮ってみました。
影は少なく明るい部分がほとんどなので、順光と同じと考えて基準露出で撮ってみました。
結果はごらんの通り、全くの適正露出といっていいですね。
[半逆光]
キヤノンP 1/500 f8半(1段落ち)
α-7 1/500 f11
[感想]
これも本には無かったんですがやってみました。
逆光の場合+1~+2ぐらいの範囲で露出補正しますのでこの場合も基準値から1段落ちにしてみました。
結果はこれでもいいと思いますが、α-7もキヤノンPももう半段か1段落としてもいいかもしれませんね。
[日中室内]
キヤノンP 1/60 f5.6半(5段落ち)
α-7 1/60 f4
[感想]
日中室内ということで、外の光でかなり明るくなっている場所を選んで撮ってみました。
5段落ちということで上記の設定で撮ってみましたが、露出はかなりいい感じです。
[夜の室内]
キヤノンP 1/60 f2半(8段落ち)
α-7 1/60 f1.7
[感想]
夜の室内ということで8段落ちです。
自宅での撮影も考えたのですが、家の中には写すべき被写体もないし(笑)、早く現像に出したかったので、外の明るさに全く影響されない場所を選んで撮って見ました。
光源は蛍光灯のみです。
露出計より1段アンダーですが、これでもいいんじゃないでしょうか。
[夕景]
キヤノンP 1/60 f11半(3段落ち)
[夜景]
キヤノンP 1/60 f2半(8段落ち)
[感想]
夕景と夜景なんですが、私のミスでα-7の方がフィルム切れになってしまいました。
本の通り、夕景は3段落ち、夜景は8段落ちです。
どちらもこれでいいですよね。
特に夕景はかなり雰囲気が出ており、いい感じに写っていると思います。
[総括]
今時露出計の付いていないカメラはありませんから、このような知識はあってもなくてもいいのかも知れません。
私も好奇心半分、面白半分でやった実験ですが、結果を見てこの「感度分の16」という理論がかなり正確で実戦的な理論であることに驚きました。
上記のシチュエーションでは「やっぱり露出計には勝てんわなぁ」というケースが一つも無かったことにほっとすると同時にちょっと逆の期待はずれでもありました(笑)
まあ、露出計でも迷うような難しいシチュエーションがなかったからかもしれませんね。
もちろん、だからと言って露出計なんかいらないというわけではありません。
頭の中で状況に応じていろいろ考えなくても露出計は瞬時に正確な露出を提供してくれます。
さらにはそれに微妙な補正を加える必要も出てきます。
状況によってはスポット露出などを使って高度な露出を必要とするような場面もあるでしょう。
そのような時にはやはり露出計がなくては話にならないと思います。
私ももちろんこの先露出計に頼りきって写真を撮ることは間違いありません。
ただ、今回このテストによってシャッターと絞りの関係、つまりは露出の基礎的な勉強ができたことはたいへん良かったと思っています。
退屈で長い文章を我慢して読んでいただきありがとうございました。
P.S.
私がいつも写真の勉強をさせていただいているブログに偶然これと同じような話が出ていますのでよろしかったらご訪問ください。
カメラ的日乗
無断でリンクを貼るのはルール違反だと思いますが、悪意はないのでお許し願えると思うのですがいかがでしょうか。
不都合であれば、即時削除いたします。